お客様へのメッセージ


※こちらもご覧下さい→ 現代画報に掲載された取材記事 2009.11.02追加

建物は造ってしまえば、それで終わりというものではありません。人が愛情を持って大切
に使い、住むことで価値が発生します。引渡してからのことも同様に責任を持たなければ
いけないと思っています。 建物は引渡した瞬間から朽ちていくものです。だからこそ、
その大切な財産を減らさないように常に新しいアイデアを模索していかなくてはいけませ
ん。当然メンテナンスにも配慮した計画をし、50年、100 年経っても朽ちない工夫、そ
ういう資産価値を落とさない作品を作らなければいけないと思います。

私は 1 級建築士以外にも造園管理の資格もあります。お花が大好きで、休日はよくガーデ
ンショップへお花を買いに行きます。勿論自宅は植物園状態です。

住宅について思うこと

居心地のよい住まいを持つことによってどんなに毎日が楽しく、心豊かに暮らせるか。
こんな当たり前な願いを叶えることのできない家が少なくはありません。
良い「家づくり」には、住まい手の家に対する思いが大切です。
人はそれぞれの生き方があり、生活の仕方も違うものです。
どんな暮らしをしたいのか、どのように生活を楽しみたいのか。
情報の氾濫によって、住まい手の要望はますます複雑化しています。
じっくりと話合いを重ねて、的確に整理し、住まい手に合った暮らしをデザインする。
そして、現場監督と設計者とお客様が、共に全員が一体となって実現していく。
このプロセスを大事にしています。

かつて日本人は、家や暮らしに色々な工夫をし、自然に対しても無理のない豊かな暮らし
をして来ました。そうした暮らしをもう一度見直し、現代の家づくりに役立てることも重
要だと考えています。
限られた敷地の中で、外部空間をできるだけ住まいに取り入れ、「自然の光」や「風の恵
み」を享受し、落葉樹を植えることによって、四季の変化を楽しめる豊かな環境づくりを
目指しています。

私は「家づくり」を、完成された箱をつくることでなく、住まい手が愛着を持ち、共に成
長していく生活の場をつくっていくことだと考えています。
家族の憩いの場、人間形成を育む場である住まいは、単に見た目のかっこ良さを追い求め
るのではなく、シンプルで、日々の暮らしに溶け込む美しさと、機能性を調和させつつ、
住み手に合う住み手の為の、建築的条件を考慮した、癒しの豊かな住空間を創作すること
が大切です。
また、憩いを誘い、潤いのある生活を愉しむには自然の緑・光・風を効果的に取り入れ、
生かすことも重要です。人は、加齢と共に段階的に いろんな色の幸福を求め進化します。
その為にも住宅は、『単なる箱』だという考えを捨て、人生の密接なるパートナーとして、
変化・成長出来える柔軟さを併せ持つことも不可欠なポイントでしょう。

私はここで住宅設計のキーワードを三つあげます

一つは、設備(照明やエアコン)は必要悪でありなくて済むものであればない方がよい、
と言うことです。住宅の設備がだんだんと高級化していく中で逆説的な言い方に聞こえる
かもしれませんが、昼間に照明をつけなければならなかったり、一年中エアコンを回して
いないと機能しない事務所ビルと違って、住宅はもっと軽装備であるべきと考えるからで
す。もっとも事務所ビルも昼間の照明や春、秋の良い季節、朝晩など設備に頼らない計画
が本来の建物の姿でしょう。十分な光が入り、風の通り抜ける住宅は、このごろ盛んに叫
ばれている省エネ、エコロジーなどに通じるものがあります。 二つ目は生活環境の変化
です。子供はいずれ家を出ていくことになるでしょうし、年をとれば建てたときのように
大きな空間が必要なくなるかもしれません。変化に柔軟に対応できる計画をとりたいもの
です。最後は社会的な影響です。いくら自分の敷地に自分のお金で家を建てると言っても
出来てしまえば少なくともその周辺の風景は変わります。設計者は建て主と共に環境を創
り上げていく使命を持っていると言えるのではないでしょうか。

家づくりは住まい手と設計者の共同作業

設計を始める時に先ず住まい手全員の話しをできるだけ聴くようにしています。 できる
だけ時間を取って住まいに関係があることもないことも、いろいろな話しを聴きます。も
ちろん住まいについての要望も書き留めますが、そういったいろいろな情報をいったんバ
ラバラにして客観的に整理します。要望の内容そのものではなく、その背景にある意味を
読み取るように努めます。そしてそれらを、敷地の持つ 諸条件と合せて組み立てていく
のが設計者の仕事です。ある住宅が出来上がった後で、住まい手から「望みどおりの家だ
けれど、思ってもいないものだった。」と喜んでいただいたことがあります。一番うれし
いケースです。住まい手の思いを設計者に伝える事は簡単な作業ではありません。そうい
った意味で、 住宅の設計は住まい手と設計者の、かなり高度な技術を要する、共同作業で
あると感じています。

住宅に完成はない

住宅は生活のための空間ですから、住まい手の用に応じて機能が固定されがちになるのは
当然です。ある時点で住まい手の求める機能を充足する空間ができたとしても、住まい手
の家族構成は変っていきますし、住まい手自身の成長や社会・環境の変化に伴って、大前
提であったはずの、求められる機能は、当然変っていきます。そうしたさまざまの変化に
おおらかに対応していけることが大切です。間仕切が変わったり、収納が増えたり、そん
なことが自在にできる住宅をつくりたいと思っています。中に置かれる家具を限定してし
まうような空間より、なんでも許容できる空間のほうが好きです。
地球全体の事も考えていかなくては
近代主義の消費社会から、地域主義の循環型社会にゆっくりとですが変りつつあります。
建築材料の選択にあたっても、限られた資源を無駄にしないという心構えが必要です。無
駄をなくして、合理的に空間をつくりたいと思います。もちろん子供達の成長に害がある
恐れのあるような建築材料は避けたいと思います。

建て主へのメッセージ

建築(住宅の設計)は、設計者の作家性のみで成立するものではなく、あくまでも施主と
のコラボレーション(合作)の産物であると考えます。希望する家のイメージが、例えば
抽象的であれ具体的であれ、”ある映画のワンシーン”、”旅先での記憶”、”夢でみた空間”
あるいは床面積や間取り、設備機器であっても私たちプロにとっては貴重な情報になりま
す。

どんなことでもお話し下さい。

建築をつくる(住宅に住まう)ことは、”醒めない夢”をみることです。まだ見ぬ未来を
信じて・・・。
すべては一度お会いしてからですが、建築の設計、(とりわけ住宅のそれ)は本当に楽し
いものです。存分に楽しもうという心構えだけで結構です。設計者はそのお手伝いを致し
ます。

曽我 透

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